最近、同業種であるエンジニア以外の職種の方に、いろいろな説明をする場が出てきており、その度に「こう伝えた方が良かったんじゃないか」「もっといい伝え方は無かったのか」と自問することが多かった。 どうも自分の説明の仕方には「型」が無いんじゃないかという悩みである。
そこで、伝え方の「型」とはすなわちプレゼンだろうと考えて、本書を手にとってみた。
「プロフェッショナルプレゼン。」
「プロフェッショナルプレゼン。」は、プレゼンの本来もっている価値や可能性を引き出すための、実践的なテクニック本である。 前半では、プレゼンをするための「準備」、そして実際に構成する「組み立て」における心構えや行動を指南し、後半では、もう少し「現場」に寄ったトピックがエッセイ風に語られる。
この本の「核」となる部分は前半でほとんど語られている。 つまり、プレゼンをする前の「準備」と「組み立て」である。 クライアントには見えない部分ながらも、準備と組み立てによって、プレゼンの大部分はここまでの出来によって決まると筆者は言う。
それは、ゴールをイメージすることであったり、目次をしっかりと作ることであったり、「思い込み」を避けるために「プレゼンを2回壊す」ことであったり、準備と組み立てにはかくも周到で綿密な作業を要するか、というメッセージとしても受け取ることが出来る。
「プレゼン」の定義
また、序盤において筆者は、「プレゼンはあくまでクライアントを幸せにするための商品である」と定義する。 プレゼンの目的は、クライアントの目的達成をサポートすることであり、「なにかを売り込む場」でなければ、自分が考えたプラン・商品を受け入れてもらうことでもない。
サクサクと読み進められるボリュームで、一本筋の通った主張は読んでいて心地が良かった。 「シンプルなフレーズに力強いメッセージが込められている」なんてフレーズを聞くことがあるが、本書がまさにそれを体現しているかのようだった。