先週6/8から、ついにペパボ新卒エンジニア研修1がスタートしました。
今年の新卒入社は10名で、そのうち6名がエンジニアです。 4月〜5月はGMOインターネットグループ研修、ペパボ東京プレ研修、ペパボ福岡支社研修などを全員で受け、6月からエンジニア・デザイナは職種別研修に入っていきます。
そして今年のエンジニア研修 (以下、研修) は、私が研修担当のメインとして、@hibomaさんと共に活動しています。
さて、研修から1週間、その間の出来事やみんなの様子を紹介していきたいと思います。
この1週間の出来事
箇条書きにすると、主に以下の6つの出来事がありました。
- THE TAO OF PEPABO ENGINEER - ペパボ新卒エンジニア研修オリエンテーション
- Web開発研修イントロダクション
- 見積り計画ワークショップ
- 読書会
- Web開発研修
- キャリア・キーノート
ここから、それぞれの出来事についてお話していきます。
THE TAO OF PEPABO ENGINEER
はじめに、オリエンテーションを行いました。
タイトルの由来
このタイトルは、The Tao of HashiCorpにインスパイアされたものです2。
大仰ですが、ペパボという会社で、エンジニアというあり方が通るべきところ (Vision, Philosophy)、規範とされること (Goodness, Virtue)、Web業界というぼやけた輪郭をもつアメーバ的世界において、常に学習し続け、変化し続けること0 の必要性・重要性を伝えたく、このタイトルにしました。
これからのペパボの技術、ペパボのエンジニア
内容はあんちぽさんの「これからのペパボの技術」のミニマル版といった感じです。
研修では「教える」こと以上に「学習する」ことを大切にしています。 エンジニアとして成長するための「行動の変化」を促せる場として、会社や事業といった要素から独立せず、TAOとして繋げていくことを意識しています。
研修の基盤は、「技術力 => 作り上げる力、時間の経過に耐える力、影響を広げる力」、サービスが持つ強み、大切にしてほしい3つのことなどから構成されていること、そしてそれらが「これからのペパボの技術」や「ペパボのエンジニア」にも繋がっていることを説明しています。
研修のコンテンツとスケジュール
これについてはスライドに書かれたことがほぼ全てで、「守破離」という思想・言葉を、研修の各フェーズに対応付けて説明しています。
守破離
まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。
この「守破離」に対して、基礎研修、サイクルOJT、配属をそれぞれ対応付けてお話しました。
- 守:基礎研修 (6月〜9月) で、『読み書きソロバン』を身につける
- 破:サイクルOJT (10月〜12月) で、より良い『型』を学び、実践する
- 離:配属 (翌年1月〜) 先で、自分自身の技を発揮し、技術力を磨く
1週間でWebサービスをつくる「お産ウィーク」
ペパボでは「お産合宿」という、スタッフがクリエイターとしての体験を味わうため3の、開発合宿のようなスタイルを取った社内イベントがあります。 お産ウィークはここから名前をいただいた基礎研修の最終試練で、同期デザイナと協力して、「1週間でWebサービスをつくる」ことがゴールです。 (経験者として言うと、なかなかにヘビーです。)
過去の研修にも同じコンテンツはありましたが、今年改めて名前をつけました (命名:@demiflare168さん。) このイベントでは、まめぶろのような、現在も運営が続いてるサービスも生まれています。
お産ウィークは現在鋭意準備中で、まだ決まっていない部分が多くありますが、ご期待ください!
Web開発研修イントロダクション
オリエンテーションと同日、基礎研修の1つである「Web開発研修」のイントロダクションを行いました。
Ruby on Rails Tutorial
Web開発研修では、英語版のRuby on Rails Tutorialを教材として使っています。
本書は「Web開発を、Railsを用いて学ぶ本」として、Web開発にまつわる様々なトピックを扱っています。 ペパボのWebサービスではRubyとRailsが多く使われており、それらを自社開発していることから、Webサービスを自分たちで考え、自分たちで作るための教材として良書だと思います。
見積り計画ワークショップ by @kenchanくんさん
イントロダクションの後、@kenchanくんさん指導のもと、見積り計画ワークショップを行いました。
新卒研修の導入としてワークショップをしました - けんちゃんくんさんのWeb日記
以下の写真はその時の様子です。
Rails Tutorialを4週間でどう進めていくか、タスクの書かれた付箋を眺めながら議論する様子
ここまでを6/8のうちに全て行っており、覚えること・やることが大量にあって、5期生エンジニアのみんなは大変だったと思います。 本当にお疲れ様!!!
さて、ここからは研修2日目からの様子で、いよいよWeb開発研修の毎日の様子です。
読書会
10:00-11:00は読書会の時間で、輪読形式で読み進めています。
読む本は5期生エンジニアを中心に決めてもらっています。 書籍の内容やそこから派生した話題について議論・コミュニケーションしてもらうことを重視しており、時には次の写真のようにホワイトボードに描いたりしてもらっています。
描かれているのは、「ハッカーと画家」で度々登場するLispのとある図説
(関係ありませんが、隅のほうでひどい顔してるのが私です。たぶん右の眉毛が痒かったんだと思います)
Web開発研修
5期生エンジニア6人がそれぞれ課題に取り組んでいます。
もくもくと進めてもらっていますが、1週間ぶっ通しで続けていると、やはり体力的にも精神的にも疲労は溜まります。 GMO Yoursのようなありがたい福利厚生もあるので、適宜リフレッシュをとりながら進めるのが肝要です (2年前の研修経験者としての感想含め)。
ワークショップで作成した見積り計画表を、さっきとは別のホワイトボードにお引っ越し
右側がカレンダーとタスクです。 付箋にはChapter 1やExercise 1などが記載されており、それぞれの付箋にはタスクの難易度を表す”ポイント”が記されています。 また、ポイントを時間換算したものは左側にあるとおりです。
ちなみに左下のRJKはみんなを表すハイライトワードです。 良心、常識、向上心の頭文字を合わせた言葉のように見えますが…? いつかどこかで、RJKの更なる謎が明らかにされるのかもしれません。
キャリア・キーノート
キャリア・キーノートは、 先輩の個人史 (キャリア) を紐解いてもらう中で、その根底に一貫して流れる基本的な考え方 (キーノート) を学ぶ場 として今年新たにはじめた試みです。 みんなが将来を考える上での指標を学んでもらうとともに、先輩自身のキャリアを再発見してもらうことが目的です。
毎週月・水曜日の17:00-18:00の1時間を設けて、エンジニアの方々に登壇していただいています。
また、このアイデアは、YAPC::Asia Tokyoのキーノートと、エドガー・H・シャイン氏による『キャリア・アンカー』に大きく影響を受けています。
「内的キャリア」
キャリアには2種類あり、それぞれ外見上の (外的) キャリア、内面的な (内的) キャリアと呼びます。
外的キャリアが、職位や職歴、業種といった目に見えるものを指すのに対し、内的キャリアは、働くことや生きることに対する価値観や意義、意味を指します。 より具体的な内的キャリアには次のようなものがあります。
- 自分の心の中にあるイメージ (internal picture)、行動指針
- 自分にとって転機となる出来事 (一皮むけたな思う経験)
キャリア・キーノートで語られること
キャリア・キーノートは、2つのキャリアのうち、「内的キャリア」を重視した内容となっています。
- 自分の才能、技能、有能な分野は何か。
- 自分の主な動機、欲求、動因、人生の目標は何か。何を望んでいるのか。
- 自分の価値観、つまり自分がやっていることを判断する主な基準は何か。
『キャリア・アンカー 第4章キャリア・アンカーという概念の展開 (p.21)』 より一部抜粋
キャリア・キーノートを通じて、ペパボの組織、サービス、マインドを理解し、それを踏まえた行動がとれるようになってもらうことや、自分自身がキャリアの選択肢を具体化してほしいという思いがあって、この試みを実施しています。
終わりに
さて、6/8の週に起こった新卒エンジニア研修に関する出来事は以上となります (細かく見たらもっとありますが、さすがに書ききれなず、一部割愛してるところもあります。)
非常に濃く、勉強になった1週間でした。 今までに無かった経験をさせていただいており、インフラエンジニアの仕事には無かった考えが身についたのも、ひとえにペパボと、今年入社してくれた新卒5期生のみんなのおかげです。
しかし、今年の新卒エンジニア研修は12月末まであり、まだまだ全体の数パーセントほどしか終わっていません。 引き続き社外に出せるものはバンバンアウトプットしていこうと思いますが、いろいろな準備や社外イベントへの登壇など、忙しい下半期になりそうです。 頑張るぞ!!
- http://pepabo.com/recruit/environment/education/ [return]
- TAOとは道 (タオ) のことであり、哲学用語の1つですが、この場においては、本来的な用語の意味・使い方とは多少離れているでしょう。 [return]
- http://osan-camp.jugem.jp/?cid=2 [return]